幼馴染は、政略妻を愛したくてしょうがない
「されてない! 大丈夫。貴晴さんが来てくれたから」
「危なかったってことか。 やっぱり、1度戻らないでドアを壊せばよかった」
「強行突破すぎ」
「あんなところ、無くせばいいんだ。どうせ物置なんだから。今度整理整頓して、封鎖する」
「鍵はもう壊しちゃったしね」
私は苦笑いした。
バキッ、ゴキって、完全にアウトな音がしたもん。
「『故障中』って張り紙してきた」
貴晴さんが手の中のマグをそっと奪って、ローテーブルに置いた。
彼の纏う空気が、少しだけ緊張する。
私は瞼を閉じて、その唇を受け止めた。
長い。存在を確かめるような、丁寧で優しいキスだ。
ソファに優しく倒され、2度目のキスは一瞬触れるだけ。
思わず、終わり?というような視線で彼を見上げてしまう。
「…今日は終わり。 男の事情。普段そういう気を起こさないように、何も用意してないから」
長い足を余らせて、貴晴さんは体を起こしてソファに背をもたれる。
私はその隣に並び、肩をくっつけた。
「私、大事にされてるね」
「当たり前だ」
「ちょっとくらい、羽目を外してもいいのに」
「煽るな、バカ」
大切に扱われている実感が、じんわりと広がって暖かい。
好きな人が好きだと、私だけを見てくれる未来が、こんなにも幸せだなんて初めて知った。
穏やかな夜は、静かに更けていく。
「危なかったってことか。 やっぱり、1度戻らないでドアを壊せばよかった」
「強行突破すぎ」
「あんなところ、無くせばいいんだ。どうせ物置なんだから。今度整理整頓して、封鎖する」
「鍵はもう壊しちゃったしね」
私は苦笑いした。
バキッ、ゴキって、完全にアウトな音がしたもん。
「『故障中』って張り紙してきた」
貴晴さんが手の中のマグをそっと奪って、ローテーブルに置いた。
彼の纏う空気が、少しだけ緊張する。
私は瞼を閉じて、その唇を受け止めた。
長い。存在を確かめるような、丁寧で優しいキスだ。
ソファに優しく倒され、2度目のキスは一瞬触れるだけ。
思わず、終わり?というような視線で彼を見上げてしまう。
「…今日は終わり。 男の事情。普段そういう気を起こさないように、何も用意してないから」
長い足を余らせて、貴晴さんは体を起こしてソファに背をもたれる。
私はその隣に並び、肩をくっつけた。
「私、大事にされてるね」
「当たり前だ」
「ちょっとくらい、羽目を外してもいいのに」
「煽るな、バカ」
大切に扱われている実感が、じんわりと広がって暖かい。
好きな人が好きだと、私だけを見てくれる未来が、こんなにも幸せだなんて初めて知った。
穏やかな夜は、静かに更けていく。