すずらんに幸あれ!

あまりの腹立たしさに、ワナワナと体が震えだす。

だけど、彼の靴の裏にべっとり付いている茶色い物体を直視できなかった。

『茶色い物体』と言うのもあれなので、ショートケーキに変換しておこう。

これなら見苦しくないし、気も紛れる。

それに、制服のスカートをショートケーキまみれにされるのは正直困る。

ここは、私が大人にならなければいけないのだろう。

彼のローファーを乱暴に受け取り、親指と人差し指でつまむようにして、自分の体から遠ざけながら持つ。

我慢をしろ、私。

目の前にいる男は高校1年生で、私は高校2年生。

私の方が年上なのだから、私が大人な対応をするしかないのだ。

そう、だって彼は"年下"で、私は"年上"なのだから!!(ここ重要)


「仕方ないから洗ってきてさしあげよう。その代わり、きみも一緒に公園に来ること!肩貸してあげるから、行くよ!」

「……」


私は、すずくんの腕を引っ掴んで、強引に公園へと連れていく。

そして、公園に到着した私たちは、早速水飲み場に足を運んでローファーの裏にこびりついているショートケーキ(排泄物)を洗い流した。

ちなみにすずくんは、私の言う通りに従って、公園のベンチに座って待ってくれている。

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