すずらんに幸あれ!
私たちは、体操服を持って、更衣室へ向かった。
ふわっと軽く巻かれためるちゃんのツインテールが揺れて、それを横目で見ながら2人でくだらない話をして盛り上がった。
めるちゃんの元彼が束縛が激しい人だった話とか、お互いの好きなバンドを鼻歌混じりに歌ったり、中学校の時に癖の強かった先生の物真似とか、他にも色んな話で笑い合ったりして、話題が一切つきないくらい、めるちゃんとの付き合いは長い。
いつもと変わらない日常。
いつもと変わらない風景。
めるちゃんや仲良くしてくれるクラスメイトたち。
彼氏や好きな人ができる気配は全くないが、今は普通に楽しく充実した生活を送れているから、別に恋人とかいいかなぁ…なんて思ったり。
制服から体操服に着替え、体育館に到着すると、同じクラスの女子生徒数人が出入り口から中を覗き込むようにして立っているのが見えた。
「ゆずぴたち何してんの〜?」とめるちゃんが話しかける。
「1年の男子たちがバスケして遊んでるっぽい」
「しかもみんなイケメン」と付け足して、ゆずぴは楽しそうにバスケをしている男子たちの方に視線を促した。