すずらんに幸あれ!
「今年の1年の男子、レベル高くない?」
「それな、イケメン多い」
「特にあの黒髪の子やばい…」
ゆずぴたちが注目している『黒髪の子』という人物に、じっ…と目を凝らす。
その黒髪の男は、3Pラインからシュートを打った。
彼の手から離れたボールは、美しい弧を描き、そのままゴールへと吸い込まれていく。
そして、ボールがネットにこすれ、パシュッと気持ちのいい乾いた音を響かせた。
「「「ギャ〜〜〜〜ッ!!がっごいい〜〜〜〜ッ!!!!」」」
「!?」
女子生徒たちの黄色い歓声でビクッと肩が飛び跳ねた。
ふと周りを見ると、いつの間にか女子の集団が体育館に大勢集まっていることに気づいた。
「小鳥遊 鈴、1年生から3年生まで、全学年の女子たちからモテてるらしいよ」
「……たかなし、すず…??」
あの長身な後ろ姿に見覚えがありすぎると思ったら、やっぱりすずくんだったか。
ゆずぴたちがうっとりとした瞳で見ていたから、てっきり人違いなんじゃないかと疑ってしまったが、紛れもなくすずくんで間違いないようだ。