すずらんに幸あれ!
彼とは3日前に話して以来、一度も会ってすらいないし、会話を交わしてすらいない。
友達でも何でもないから、会わないのが普通なのだけども。
そんなことよりも、すずくんの苗字は「小鳥遊」というのか。
顔だけでなく、苗字もかっこいいとは…。
下の名前しか聞いていなかったから知らなかった。
しかし、ゆずぴたちは外見でしか見ていないのだろうけど、彼は3日前にう◯こを踏んでいたことなんて誰も知る由もないだろう。
そもそも、あんな無愛想でデリカシーのなさそうな男がモテてるだなんて、世も末だ。
「小鳥遊くんって、この前3年生で1番可愛いって言われてる先輩に告白されたけど断ったらしいよ」
「えっ、マジ!?あのうさぎみたいにちっちゃくてふわふわしてる人だよね!?」
「あんな可愛い人でも断られるんだねぇ…」
「ああいうイケメンは一体どんな女性が好みなんだろうね」
「意外と地味系がタイプとか?」
ゆずぴたちの会話を聞きながら、私は「ふーん…」と相槌を打った。
「確かに顔はかっこいいとは思うけど、なんかあれじゃない?奈良の東大寺南大門にある金剛力士像みたいに怖い顔してない?」