すずらんに幸あれ!

***


「ただいま〜」


日にちはあっという間に過ぎて、とうとうスズちゃんが我が家に来る日となった。

玄関の方から、2人分の足音が聞こえてくる。

母は、スズちゃんを車で迎えに行っていたようだ。


「蘭ちゃーん!スズちゃん来たよ〜」

「はーい、今行く〜」


お母さんに呼ばれて、リビングに向かう。


今日からスズちゃんと一緒に暮らすのかぁ…。


歓迎を込めて、ジト目な黒猫の合鍵用キーカバーをサプライズで渡そうと、プレゼントを片手にリビングの扉を開けた。


「今日からお世話になります」

「いいえ〜。スズちゃん大きくなったね〜」


リビングに着くと、母とスズちゃんの会話が耳に入ってきた。

なんか、スズちゃんの声低くない?

そう思いながら、ソファーが置いてあるところへと足を進めていくと、母が「あっ、蘭ちゃん」と私に気づき、スズちゃんらしき人物も釣られて私の方に振り向いた。

スズちゃんと目が合った瞬間、私たちは「えっ…」と声を漏らした。

手に持っていたプレゼントを落としてしまい、プルプルと体が震え出す。


「お、おおおお母さん!なんか見知らぬイケメンがいるんですけど!?」

< 20 / 46 >

この作品をシェア

pagetop