すずらんに幸あれ!
***
「ただいま〜」
日にちはあっという間に過ぎて、とうとうスズちゃんが我が家に来る日となった。
玄関の方から、2人分の足音が聞こえてくる。
母は、スズちゃんを車で迎えに行っていたようだ。
「蘭ちゃーん!スズちゃん来たよ〜」
「はーい、今行く〜」
お母さんに呼ばれて、リビングに向かう。
今日からスズちゃんと一緒に暮らすのかぁ…。
歓迎を込めて、ジト目な黒猫の合鍵用キーカバーをサプライズで渡そうと、プレゼントを片手にリビングの扉を開けた。
「今日からお世話になります」
「いいえ〜。スズちゃん大きくなったね〜」
リビングに着くと、母とスズちゃんの会話が耳に入ってきた。
なんか、スズちゃんの声低くない?
そう思いながら、ソファーが置いてあるところへと足を進めていくと、母が「あっ、蘭ちゃん」と私に気づき、スズちゃんらしき人物も釣られて私の方に振り向いた。
スズちゃんと目が合った瞬間、私たちは「えっ…」と声を漏らした。
手に持っていたプレゼントを落としてしまい、プルプルと体が震え出す。
「お、おおおお母さん!なんか見知らぬイケメンがいるんですけど!?」