すずらんに幸あれ!
いや、知ってるけど!
知ってはいるんだけども!!
どうして彼が───…すずくんが私の家にいるの!?
「蘭ちゃん、紹介するね。こちら、今日から一緒に生活する小鳥遊 鈴ちゃん!お母さんの友人、凜さんって人の息子さんだよ〜」
驚く私を差し置いて、お母さんはすずくんを紹介してくれた。
すずくんは、おまえかよ…と言いたげな表情で「ども…」と軽く会釈する。
「『スズちゃん』って、女の子じゃないの…!?」
「ん?言ってなかったっけ?」
「聞いてない!初耳!!ちゃん付けとかまぎらわしい呼び方しないでよ!!」
「えー…いいじゃん、かわいいじゃん」
「すずくんもちゃん付けされてるけど、それでいいの!?」
「……」
「なんかしゃべって!?」
なんとなく、"スズちゃん"と聞いて、一瞬だけすずくんの顔が頭に浮かんだけれど、きっと別人だろうと思っていた。
そう思いたかった。
だけど、"スズちゃん"という同居人がまさかの小鳥遊 鈴だったなんて───…。