すずらんに幸あれ!

苦笑いを浮かべて、私は1年の教室へと足を運んだ。

しかし、1年生の階に来たはいいものの、私は肝心なことを忘れていた。


「すずくんって何組…??」


把握しているのは学年だけ。

ちゃんと会話をしたのも2.3回くらいだった気がするし、彼のことを何も知らない。

無意識に声に出してしまった私の独り言に、めるちゃんは首を傾げた。


「"スズくん"?"スズちゃん"じゃなくて?えっ、待って。同居人って男なの…?」

「うえっ!?あっ、あー…えっとぉ…」

「……ってか、『すず』って名前の男とかもうあの人しかいなくない?」

「あっ、めるちゃ…」


めるちゃんは、たまたま近くに歩いている1年生の女の子に声をかける。


「ねえ、小鳥遊 鈴って何組かわかる?」

「ほぁっ、あっ…えっと、6組です…」

「ありがとう。蘭、行くよ」

「め、めるちゃん!?」


予想外の速さでめるちゃんにバレてしまった。

相変わらず、めるちゃんは感が鋭い。

1年6組の教室に着いて中を覗き込む。


「ねえ、申し訳ないんだけど、小鳥遊 鈴呼んでくれない?」

「めるちゃんっ!!(泣)」

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