まあ、食ってしまいたいくらいには。
ここに住み始めて数週間はたった。
最初こそびくびく怯えて部屋に閉じこもってばかりだったけど、寮の中を歩いてたらいきなり襲われるなんてこともなく。
芽野くんはすれ違うときに気持ちのいい挨拶をしてくれるし、三栗くんはちょっと距離が近いような気がしなくもないけど、一応合意の上でのスキンシップだから黙認してる。
芽野くんと三栗くんは同じ学年ってこともあって、エントランスで話してるのをよく見かけた。
よほど羨ましそうな顔をしていたのか、わたしもたまに会話にまぜてもらってるんだ。
あまり話したことがなかった芽野くんはもちろん、クラスでは猫を被ってたから素の三栗くんもなんだか新鮮だった。
奈良町先輩はそもそも見かけないのでわからない。
意図的に避けられてるのか、生徒会室以外の校内で見かけたこともなければ、寮内で見かけたこともない。ので、勝手にレアキャラ認定してる。
愔俐先輩は言わずもがな。
たまにだけど、さっきみたいにドアを壊して部屋に入ってくる。
それいま言う必要ありますか? ってことを一言二言いいのこして去っていく。
なにがしたいのかわからないので純粋に怖い。
閑話休題。