まあ、食ってしまいたいくらいには。
「考えるのやめよ……虚しくなってきた」
たしか、この角を曲がれば娯楽室だったはず。
電気屋さんにあるような大型のテレビだったらいいな。
居心地がよさそうだったら明日からでも入り浸ろうかな。
なんて、ぽやぽや考えてたとき。
「……あれっ」
曲がり角の向こうから洩れるコントラストの低い灯り。
耳をすませば聞こえてくる微かな音。
消し忘れかな……?
そうっと顔をのぞかせると、テレビの前に誰かがいた。
頬杖をついてソファに腰かけていて。
わたしには気付いていない様子だった。
誰だろう……暗いし、後ろ姿だけじゃわかんない。
んん~? と目を凝らすよりも早く。
予想通り大型だったそのテレビ画面に目がいった。
白黒のなかに映し出されているのは、帽子をかぶったボロボロの少年。
見覚えのあるその少年に、はっとしたわたしは声をあげてしまった。
「……オリバー!?」
「あ?」
「奈良町先輩!?」
びっくり仰天。
映画を観ていたのは奈良町先輩で。
こちらを振り返った途端、
奈良町先輩はまるでこの世の憎悪をかき集めたような息を吐き出したのだった。