まあ、食ってしまいたいくらいには。
悪魔との契約
どこに連れてかれるか、なんて。
訊かなくてもわかった。
スタスタと迷いのない足どりに、横抱きにされているわたしの不安はどんどん大きくなっていく。
「せ、生徒会へようこそって、どういう意味ですか」
「そのままの意味だが」
つまり、わたしが生徒会に入るってこと?
「いや、むりむりむりむり!」
「耳元で喚くな、鬱陶しい」
う……怖い。
そんなに睨まなくてもいいのに。
ついさっき出てきたばかりの校舎に再び入り、愔俐先輩は冷たい階段をのぼっていく。
かつん、かつんと、革靴の音だけが静寂を引き裂くように響き渡る。
そりゃあ、言ったよ。
生徒会に入ろうかなあ、って言った。
でもあれは冗談で、というかそもそも、愔俐先輩はそのこと知らないだろうし。
わたしが生徒会に入る道理も、メリットもない。
「け、契約内容の変更を要求します!」
「うるさい」
「わたしが生徒会に入ってもたぶん、きっと、仕事はできないです。庶務の仕事なんてわかんないし、かといって愔俐先輩の右腕になれる自信もないし」
……嫉妬した女の子たちに虐められるの、やだし。