まあ、食ってしまいたいくらいには。
ええー、と思わず不満の声が出る。
「それ遠くの自販機にしかないやつじゃないですか」
「ついでに買ってこい」
全然ついでじゃないんですけど。
優しくないし、思いやりが足りない。
「じゃあ行ってきま……って、誰もこっち見てないし」
誰よりも熱心に誠実に、仕事をしている芽野くん。
書類と奈良町先輩のマルチタスクを上手く処理している愔俐先輩。
それがまたムカついて仕方がない様子で詰め寄っている奈良町先輩。
そんな二人を見て笑いながら、ときおり茶々を入れている三栗くん。
生徒会に憧れている女子生徒のみなさん。
この光景を見てもまだ生徒会は崇高で静謐な集団だと言えますか。
……でも。
わたしはこっちのが、好き、かもしれない。
ごく普通の男子高校生たちに思わず笑みを零す。
庶務なんていなくても。
生徒会室は、成り立っていた。