まあ、食ってしまいたいくらいには。
「……庶務の仕事はできなくてもいい」
「はあ」
長い廊下を進んでいるとき、愔俐先輩から口をひらいた。
「ましてや俺の右腕にするつもりもない。そもそもお前に務まるとは思わない」
あ、嫌な言い方!
右腕(笑)って感じだったよ、いま。
自分で言うのはいいけど人に言われたらムカッてする。
睨もうとしたら目が合いそうになったのですんでの所で逸らした。だってこの人、眼力すごいんだもん……。
「そろそろ自分の足で歩け」
「ぎゃん……っ、いたた」
結局、落とされたし。
ぐっと腰に力を入れてみると、どうやら治っていたようだ。
すんなり立ち上がれたわたしは、先に行ってしまう愔俐先輩を追いかけた。
「じゃあ、わたしはなにをしたら?お茶くみ?掃除?最初に言っときますけど、わたしは自他共に認めるポンコツですよ。なにもできませんし、なにも貢献できません。唯一の取り柄といえば甘くて美味しい体をしてることくらい。あ、これ皮肉ですよ?」
「お前は口から先に生まれたのか?」
そんなことを話しているうちに、廊下の突き当たりまで来ていたようで。
他とは少し違う扉の前で、愔俐先輩が足を止めた。