まあ、食ってしまいたいくらいには。
翌日、学校がかすかにざわついていた。
いつもはわたしなんかに興味を示さない人までジロジロと見てくる。
好奇とほんの少しの同情がまざった目。
なんだろうと不思議に思いながら教室に入ると、ほの空ちゃんが真っ先に駆け寄ってきた。
言うよりも早く、見せてくれたスマホの画面には。
どうやらこの学校の裏掲示板らしきページ。
そこに書かれていた内容の意味を理解した途端。
遅れて、心臓がバクバクととんでもない勢いで音を立て始める。
“生徒会にフォークがいる”
たった、ひとこと。
なんの証拠も追記もない。
むしろそれが真実味を帯びていた。
もちろんわたしは否定した。
少し遅れて登校してきた三栗くんも、いつものように笑いながらクラスメイトからの質問をかわしていた。
第二の性は、自己申告制。
おそらく三栗くんたちは、学校側にフォークであることを告げていない。
わたしだってケーキだってこと言ってないし。
だから彼らがフォークである証拠も、そうでない証拠もないのだけど。
このときはまだみんな、生徒会のことを信じていた。
……でも。
完璧に織り込まれた布もちょっとした綻びからほつれていく。
それは、あっという間だった。