まあ、食ってしまいたいくらいには。
「それより学校はどう?最近、あんまり話してくれなくなったけど」
隣のブランコに腰掛けていた彼女が、うーん、と煮え切らない声を出した。
「思ってたほど楽しくない。なんかね、みんな、男の子のことで頭いーっぱいなの。お話しててもいっつも男の子のほうばっか気にしてるし、もうみんなメイクとかカレシとかの話しかしなくなっちゃった」
「中学生なんてそんなもんだよ」
「……わたしだけ取り残されたみたい」
その言葉には覚えがある。
いつか自分も毎日のように考えていたことだった。
「好きとか愛とか、よくわかんない」
「……」
「ねえ、愛ってなんだろうね」
そんなの僕にだってわかるわけがない。
今までまともに人を愛したことなどないのだから。