まあ、食ってしまいたいくらいには。
「走ってきたの?前髪乱れてるよ」
「おいだから気安く触れんなって」
「奈良町さんプリント踏んでます」
生徒会室に飛びこんできたわたしに、たまたまドアの近くにいた三栗くんが目を丸くした。
ソファに腰かけテーブルの上に脚を投げ出している奈良町先輩が、その近くに芽野くんが。
部屋の奥には愔俐先輩もいて、なにやら書類にペンを走らせている。
そこにあるのはいつも通りの光景。
いつもの生徒会だった。
「なんで否定しないの?」
一向にととのわない呼吸。
乱れる吐息に、ふるえるひと言。
それなのに誰もなにも言ってくれない。
返す言葉がわからないんじゃない。
むしろこの人たちの中には決まった答えがすでにあるんだと思った。
わたしばかりが焦っていて。
それがなんだか悔しくて、……悲しくて。
「やだ。みんなそんな人じゃないのに、フォークだからって決めつけられるの、やだ……っ」