まあ、食ってしまいたいくらいには。
「それはダメだ」
ぐるぐる、思考の罠にハマってしまったとき。
凜とした、なんの迷いのない一声が、わたしの耳に届いた。
「……芽野くん」
「甲斐田の気持ちは嬉しい。だが、君がケーキだと知られたときの代償があまりにも大きすぎる」
「そんなの、どうでも……」
「どうでもいいわけねーだろボケ」
わたしの言葉を遮ったのは奈良町先輩だった。
ちゃんと考えろ、って。
その声もまたいつもより力強く、そして温かく感じた。
「つーか俺らがフォークなのは事実だしな」
わたしなんかより、ずっと落ち着いている。
これは、諦めてるんじゃなくて────