まあ、食ってしまいたいくらいには。


「なに笑ってる」

「や、ほんとに味覚音痴なだけだったんだなって」

「俺がいつフォークじゃないと言った?」

「…………エッ」



数日前のできごとを必死に思い返す。


そういえばフォークじゃない、とは……ひとことも言ってないかも。



「でも、敬郷先輩が」

「俺よりもあいつの言葉を信じるのか」


びっくりして、首をぶんぶんと横にふる。

そんなことはない。


というかさっきからちょくちょく発言おかしくない?



「じゃあやっぱりフォークなんですね?」

「おい。どれもこれも皮が残ってる」

「いやそれうさぎ!そういう切り方!」



結局、愔俐先輩がそのことに言及することはついになかった。


だからフォークかどうかは今でも謎のまま。


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