まあ、食ってしまいたいくらいには。
いつの間にかお皿のりんごを全て食べ終わっていた愔俐先輩は、起こしたベッドに上半身を預けながら言った。
「それで探偵にでもなったつもりか?」
「違うんですか?」
「お前を拾ったのは」
「拾った」
「退屈しのぎになると思ったからだ」
やっぱりこの男の本質はそこにあるんだと思う。
面白いか、面白くないか。
だけど今わたしが言ったことのすべてが間違いだとも思えなかった。
じっと見つめていると、鬱陶しげに視線を振り払われる。
「お前の過去を少し調べさせてもらった」
「前から思ってたんですけど、プライバシーって言葉知ってます?」
「6年間、フォークに捕らわれても生き延びたらしいな」
「……少し特殊な体質でしたから」
だから、わたしはここまで生き延びられた。