まあ、食ってしまいたいくらいには。
「だったら先輩も生きて、罪を償ってください。先輩が教えてくれたんですよ。苦しんで、絶望して、泣いて、そうやって少しずつ治していくしかないって」
この人にはたくさんの嘘をつかれたけれど。
わたしは、あの言葉は、この人の本心だと思ってる。
「敬郷先輩、諦めないでください。その命はもう、先輩のものだけじゃない。あなたに生きることを放棄する権利はない」
時間はとうに過ぎていることで強めの注意を受けたわたしは、今度こそドアに手をかける。
そうだ。
最後にひとつ、これだけは言っておかないと。
振り返ると敬郷先輩はまだこちらを見つめていた。
「わたしは絶対、ぜーったい食べられませんから!」
少し迷って、いーっ、としてやった。
これによりわたしは首根っこを掴まれ、本格的に別室でお説教を喰らうことになる。
だけど後悔はなかった。
「……もう一度、きみに会いたかったな。もも」