まあ、食ってしまいたいくらいには。
「んー……と、じゃあ、言い方変えるね」
だけどそれを認めるわけにはいかなかった。
そうすれば本当に、すべてが終ってしまうから。
「わたしのありのままを受け入れてほしい」
離れかかっていた思考が、ふ、と戻される。
すると彼女がしたり顔になった。
「やっとこっち見てくれたぁ」
「いまの、どういうこと」
「え〜前にあなたが言ったことでしょ?ほら、相手のいいところも悪いところも丸ごと受け入れる〜って」
それは覚えている。
覚えているけど、なんだって今そんなことを。
「わたしはね、あなたのすべてを受け入れられるよ」
心臓が痛いくらいに強く跳ねる。
その言葉に含まれた意味を、僕は誰よりも知っていた。
「あなたは、わたしを、受け入れてくれない?」
「……ずるい。そんなの断れないじゃん」
「ひひ。しってた」
ブランコから立ち上がった彼女は。
初めて会った時と同じように、僕の前に立った。
「大きくなったねえ、敬郷くん」
「きみもね。百々果」
怖くないはずがないのに。
彼女は少しもその素振りを見せなかった。
それどころか本当に、うれしそうに。
嬉しそうに、キスを落として。
それから。
ふわりと甘い匂いにつつまれながら、心の底から幸せそうに彼女は笑った。
「愛してる」