まあ、食ってしまいたいくらいには。
校舎までの道のりを歩いているとき、ふと思った。
「そういえば生徒会で女って、わたしひとりだよね」
なんで今までそのことに気づかなかったんだろう。
もしかして、わたし、すごくおいしい立場にいるのでは?
「これっていわゆる逆ハーだよね!?」
するとみんなは顔を赤くする……のではなく。
微妙な顔だったり、しらけた顔をした。
「え、あれ、なんでそんな反応……」
「自分から言っちゃう辺り、ほんとに桃だよね」
「すまない甲斐田。ぎゃくはー、とは……?」
「自惚れてんじゃねえぞボケ」
あまりにも散々な言われよう。
ここに逆ハーはないのだと早々に察した。
いや早いな?
自覚してから終わるまでが。
「まあいいんだけど。わたしもそんなつもりでここにいるわけじゃないし」
わたしが生徒会に入ったのは、敬郷先輩に狙われていたから。たぶん。
だけどその脅威も去った今、わたしがここにいる理由はなくなった。
だから、抜けると言っても愔俐先輩はもう引き留めないだろう。