まあ、食ってしまいたいくらいには。
熱にうかされて
*
『は、じゃあお前、フォークと一緒に生活してるのか?』
「うん、まあ、正確にはまだしてないんだけど。いまアパートで荷物整理してるとこ」
床に直置きしているスマホに向かって、それにしてもさ、と声をかけた。
「フォークが同じ学校に4人も集まるなんてすごくない?なんだかいまなら宝くじ当たっちゃいそう!このあと寄っていこうかな~」
画面に映っていた顔が思いっきり歪む。
『なんでそんなに落ち着いていられるんだ。僕の言ったことを忘れたのか?お前の学校の近くでケーキの捕食が多発していて、犯人はお前んとこの生徒かもしれないんだぞ』
「教師かもしれない」
『どっちにしろ、だ。お前の身近に殺人鬼がいることには変わりない』
「なんとなく目星はついてるよ」
スマホから離れてしまったからか、わたしのつぶやきは届かなかったらしい。
ガムテープを片手にダンボールに封をしながら、ちょっと声を張った。
「大丈夫!わたし頑張って、食べられないようにするから」