まあ、食ってしまいたいくらいには。


家具は元々アパートについていたものを使っていたから、いざ荷物をまとめてみるとそこまで大荷物にはならなかった。

ダンボール1箱と、ボストンバッグ。

バッグを肩から提げ、ダンボールをよいしょっと持ちあげる。


アパート、学校の徒歩圏内にあってよかった。

これで電車に乗るのはちょっと恥ずかしいもんね。



学校には十数分で着いて、敷地内をほてほて歩いていく。


休日でも部活動をしている人たちの声がする。


弓道場のほうから、パァン、と矢が的に中る爽快な音がした。

続いて女の子たちの黄色い悲鳴も。


ああ、いいなあ……わたしも弓道部に入ればよかった。

でも弓道部に入った女子は虐められるって噂があるしなあ……。


とある3年の先輩がそれはもう人気も人気で。

わたしも校内で見たことあるけど、ものすごくカッコよかったし、優しそうだった。

三栗くんとはまた違う完全無欠の王子さまオーラ。

< 39 / 236 >

この作品をシェア

pagetop