まあ、食ってしまいたいくらいには。
「あぅえ……腕が……」
寮のエントランスにたどり着いた頃には、さすがに腕が痺れていた。
一旦下ろそうかなと考えていたときだった。
「言ってくれたら手伝ったのに、荷物持ちくらい」
「げ」
やばい、げって言っちゃったよ。
わたしの腕にのしかかっていた重みが一気になくなる。
軽々と片手で持たれたダンボールと、奪われたボストンバッグ。
固まっているわたしに──三栗くんは、にこりと笑った。
「部屋まで運ぶよ」
「っ~~……、」
後ずさるわたしに構わず三栗くんが歩き出したので。
わたしもそのあとをついて行くことしかできなかった。