まあ、食ってしまいたいくらいには。


「っ、……手短にオネガイシマス」

「立ち話もなんだし入ってくれば?」

「もう騙されない!もう騙されない!」

「ははは、桃はいつも元気でいいね」



前にも似たようなことを言われたけれど。


もしかして、あれも、これも皮肉で言われてたとか?

もしかして、三栗くん、かなり意地悪なのでは?


クラスでの甘い笑顔も、王子さま然とした振る舞いも。

全部、ガラガラッて音を立てて崩れていく。




「人間不信になりそう……」

「むしろ今までならなかったのが不思議だな」




じんわりとした痛みのようなものが全身へと広がっていく。


遅効性の毒のようなそれは、いつまでもわたしの体を疼かせていた。


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