まあ、食ってしまいたいくらいには。


というかみんなこんなふうに生徒会のこと話したりするんだ。

学校では盲目的ってくらい陶酔してるから、ギャップにちょっとびっくりした。


ここが女子寮で、お風呂っていう空間だからこその赤裸々なのかな。




「で、そっちはどーなの?」

「うちは芽野くん!うちみたいなギャルにも臆さず指導してくれるとことか、てきぱき副会長の仕事こなすところとかさー……なんか、いいよね」

「いや言い方。キモイおっさんのそれと同じ。じゃあ三栗くんは?」

「三栗くんも好き。安定に好き。みんなの三栗くんって感じ。生徒会の中じゃいちばん話しやすい」

「わかるわかるー庶務になって仕事教わりたい」



庶務、という単語にシャワーを持ちあげた手が止まる。


泡がじんわりと垂れてきたから、あわてて目をつぶった。




「あんたそれ、他では言わないほうがいーよ。吊されるよ」

「あはは、だねー。男ならまだしも、女が庶務ったらヤバいよね」

「いやそれは鬼ヤバい」



洗い終わったのか、きゃっきゃ、笑いながら行ってしまい。


取り残されたわたしは灰になったボクサーのように項垂れるしかなかった。



わたし、鬼ヤバいのか……。

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