まあ、食ってしまいたいくらいには。
……はあ、もうしょうがないよね。
過ぎたことを後悔したってどうしようもできないんだから。
わたしは、腹、くくるしかない。
「わかりました、じゃあ明日からはここのお風呂を使わせてもらいますから。ちゃんと他の人たちにも話し通しといてくださいね」
「もう言ってある」
「はや……絶対わたしが断ること想定してないやつ……」
ともあれ話はこれで終わりのはず。
「わざわざ女子寮まで迎えにきてくれてアリガトウゴザイマシタ。もう休みたいので早急に出て行ってください」
言いながら、手元にあったぬいぐるみを抱き寄せた。
どうせ布団に隠れて見えないだろうと高を括っていた、のに。
べりっと布団を剥がれてしまえば、隠せるものも隠せない。
「なっ……に、ですか」
へんな日本語になった。
ぎゅっと体をまるめて怯えるわたしの──胸元に、愔俐先輩の視線が注がれていたから。
え、うそ、もしかして襲われる?
どくんどくんと激しく鳴り出す鼓動。
蛇に睨まれた蛙のように身動きがとれないまま、息を呑んだときだった。
「なんだこのハゲは」