まあ、食ってしまいたいくらいには。


「むしろ助けにきてくれてありがとうだよ。あのままだったらこっちも腫れてたかも」


無事だった方のほっぺをちょんちょんと触りながら笑う。

わたしが笑ったことでほんの少し、芽野くんの肩の力も抜けた気がした。




「三栗が教えてくれたんだ」

「三栗くんが?」

「ああ。甲斐田が校舎裏に連れていかれたから行ってみな、面白いものが見れるかもしれないって」

「うわ言い方……決して面白い雰囲気ではなかったと思うんだけど」


それに見ていたのなら止めてくれてもよかったのに。

きっと面倒事に関わりたくなかったんだろう。


わたしが言いたいことを、芽野くんは察したらしい。




「あいつは、三栗は俺と違ってみんなに好かれているから。自分が間に入ればもっと悪化することをわかっていたから、だから俺に頼んだんだろう」

「なるほど……」


三栗くんが来るよりも、副会長の芽野くんが仲裁に来るほうが自然だ。


間違ったことをなによりも嫌っているらしい芽野くんが間に入ったら、たしかに他の生徒会メンバーに庇われるよりも事態は丸く収まるだろう、けど。

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