まあ、食ってしまいたいくらいには。
それから芽野くんはケーキを完食してくれた。
「ありがとう甲斐田」
「いえいえ、今日のお礼だよ」
「それだけじゃなくて、俺を励まそうとしてくれたんだろ」
「え?」
「え?」
芽野くんはなにか勘違いしている。
「ええっと、本当にただのお礼のつもりだった……んだけど。ごめん、いまから励ましの言葉を考えるからちょっと待ってね」
ふたりきりのロビーに、ふ、と洩れた息が広がる。
芽野くんが笑っていた。
「甲斐田はすごいな」
「す、すごい?わたしが?」
「あのときも、単身で生徒会に乗り込んできたときは驚いた」
「ああ、その節はどうもお騒がせして……」
そうだ、あの場には芽野くんもいたんだもんね。
なんとなく気恥ずかしくなって照れ笑いを浮かべる。
「……芽野くんっ」