まあ、食ってしまいたいくらいには。


目安箱の確認をしていた芽野くんが、「奈良町さん」とわずかに眉をひそめた。



「さすがに言い過ぎですよ」

「なんだよ嵐、女の味方すんのか?」


お前さあ、と奈良町先輩は顔もあげずに続ける。



「このまえ寮でその女と楽しそうにしてたろ」



ケーキを一緒に食べたときのことだ。

奈良町先輩に見られてたんだ。



「ケーキなんかに絆されてんじゃねーよ。それともなんだ、優しくされて好きになっちまったってか? は、さすがはお坊ちゃん単純な脳みそをお持ちで」



ムカッとした。

なんで芽野くんがそこまで言われなくちゃいけないの。


言い返そうとした、そのときだった。


かすかな笑い声が生徒会室に落とされたのは。

< 85 / 236 >

この作品をシェア

pagetop