まあ、食ってしまいたいくらいには。
目安箱の確認をしていた芽野くんが、「奈良町さん」とわずかに眉をひそめた。
「さすがに言い過ぎですよ」
「なんだよ嵐、女の味方すんのか?」
お前さあ、と奈良町先輩は顔もあげずに続ける。
「このまえ寮でその女と楽しそうにしてたろ」
ケーキを一緒に食べたときのことだ。
奈良町先輩に見られてたんだ。
「ケーキなんかに絆されてんじゃねーよ。それともなんだ、優しくされて好きになっちまったってか? は、さすがはお坊ちゃん単純な脳みそをお持ちで」
ムカッとした。
なんで芽野くんがそこまで言われなくちゃいけないの。
言い返そうとした、そのときだった。
かすかな笑い声が生徒会室に落とされたのは。