まあ、食ってしまいたいくらいには。
それからまた数日後の放課後。
生徒会室に行くと、そこには一人しかいなかった。
ゆるりと怠そうにこちらを確認したのは奈良町先輩だった。
入ってきたのがわたしだとわかった途端、チッと舌打ちをされる。
「どっか行けよ」
「でも、わたしにも仕事が……」
「どうせ大したことじゃねぇだろ」
決めつけるような言い方に、怒りよりも先に戸惑いが込み上げてきた。
なんでこの人、こんなにわたしを目の敵にするの……。
愔俐先輩と仲が良いと思われてるから?
敵の味方は敵、ってこと?
「そもそも庶務なんかいらねーんだよ。あのクソ野郎、余計なもん拾ってきやがって」
「わ、わたしは自分の意思でここに入ったんです。たしかに大したことはできないかもしれないけど、それを奈良町先輩に言われる筋合いは──」
その瞬間、ぎろりと睨まれた。
愔俐先輩とはまた違う、狂犬のような激しさを宿した瞳に。
わたしは思わず身を固くしてしまう。
そのあとすぐに三栗くんが来たから、最悪の事態にはならなかったけれど。
仕事をしているあいだ、背を向けるのが怖くてずっと気を張っていた。
奈良町先輩、苦手だな……。