丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾・宗匠・紀信「………」

杏樹の言葉に、凱吾達が口をつぐむ。
そして、志田が噴き出し笑いだした。

凱吾「なんだ?」
宗匠「おっさん、笑うなよ」
紀信「え?そんな、おかしいですか?」

志田「いや…すまない。
杏が、鈴嶺ちゃんと同じことを言うから、あまりにもおかしくって……!
フフ…ハハハーッ!」
まだ腹を抱えて笑っている。

杏樹「鈴嶺が?」

志田「あぁ、そうだよ。
俺は正直、鈴嶺ちゃんのことを甘く見てた。
いつも佐木さんや凱吾くんに守られ、宗匠くんや紀信くんにも愛されて、更に杏にも愛されてる。
何もしなくても、幸せが降ってくるような典型的なお嬢様。
俺と正反対で、この世で一番羨ましくて、一番忌まわしい女。
でも鈴嶺ちゃんは、こんな俺を“綺麗だ”と言ってくれた。
真っ直ぐ俺を見て、俺を……いや、俺の杏への想いを信じて。
杏を思う気持ちは、本物で綺麗だって」

凱吾「鈴嶺らしいな…」
宗匠「だな。でも、信用しすぎだろ!?」
紀信「それが、鈴嶺だよね」

志田「フフ…杏や鈴嶺ちゃんの言う通り、裏切ったりしないよ。
杏が、俺の傍にいてくれる限りね………!」

杏樹「大丈夫よ。離れないから。
━━━━━━何があっても…ね……」


佐木「━━━━━でも“警戒心”は必要です」

凱吾達の話を聞いていた佐木が、ポツリと言った。

凱吾「そうだね。
こんこんと言い聞かせてるんだけどね……
なかなかわかってくれない」
宗匠「だよなぁー、誰にでもついてくもんなぁー」
紀信「だよね…(笑)」

志田「俺もね。
ちゃんと言ったんだよ?
凱吾くんや佐木さんに守られてるからって、簡単に信用しちゃダメって」

杏樹「一回、厳しく言った方がいいわね(笑)」

佐木「はい。私からもお願いしたいです」

志田「凱吾くんがいいなら、俺が襲ってあげてもいいよ?
たぶん、俺が一番適任じゃないかな?」

凱吾「は?いいって言うと思ってるんですか?
鈴嶺は僕が守るから、問題ない。
それに、鈴嶺が僕に依存してる間は大丈夫だ」

志田「そっか!」
宗匠「でも、一回痛い目見せた方がよくねぇか?」

凱吾「だから!問題ないって言ってるだろ!?」

紀信「ちょっと!!喧嘩はやめなよ!」
杏樹「鈴嶺、起きるわよ?」

すると案の定、鈴嶺が目を覚ました。
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