丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
杏樹「凱吾がさせると思う?」

志田「………あー、そうだね(笑)」

紀信「きっと、余計な情報を鈴嶺の頭に入れたくないんだと思います」

志田「じゃあ、鈴嶺ちゃんは」

杏樹「電話とメッセージしか使わない。
てか、使えない?みたいな(笑)
鈴嶺の好きなブランドのHPだけ、凱吾が見れるようにしてるくらい。でも鈴嶺自身は自分では調べられない」

志田「え?今時珍しいね…(笑)」

宗匠「凱吾の独占欲は凄まじいからな」
紀信「恐ろしい人だよね…凱吾って」
杏樹「そうね」

志田「いやいや“恐ろしい”のは、鈴嶺ちゃんだよ」

宗匠達「え?」

志田「だって、凱吾くんの支配を“何の疑いもなく”寧ろ、喜んで受け入れてる。
それに、凱吾くんは“鈴嶺ちゃんが嫌がることは”一切しない。
鈴嶺ちゃんが望むことは“全て”受け入れるだろ?
まぁ…凱吾くんがあまりにも賢いから、言いくるめられているといえばそうなんだろうけどね。
でも、鈴嶺ちゃんは凱吾くんの支配を“嫌がったこと”ないだろ?」

宗匠「まぁ、確かに」
紀信「そうですけど…」

志田「もし、杏なら……
俺が知らないところで、SNSしたりするんじゃないかな?
俺の言いつけを、100%守るとは限らない。
でもそれは、当たり前のこと。
みんな“自我”があるからね。
でも鈴嶺ちゃんには、ある意味それがない。
凱吾くんを100%信頼し、依存して、捧げてる。
だからね。
本当に“恐ろしい”のは、鈴嶺ちゃんだ」

そんな話をしていると、凱吾と鈴嶺の「ごちそうさま」の声が聞こえてきた。
宗匠達が、凱吾と鈴嶺に意識を向ける。

鈴嶺「美味しかったね!」
凱吾「そうだね!」

鈴嶺「凱くん、お腹いっぱいになった?
少なくない?」
凱吾「いっぱいではないけど、大丈夫だよ!
ここを出る前に、パンでも買って車に戻るよ」

鈴嶺「え?パン!?
何のパン?」
凱吾「鈴嶺、食べたいの?」

鈴嶺「え!?あ、いや…う、ううん!」
凱吾「………」

鈴嶺「………」
凱吾「…………鈴嶺、バレバレだよ」

鈴嶺「メロンパン…」
おずおずと指差す。

凱吾「あーあれね。
じゃあ、メロンパンにしようね!」
鈴嶺「いいの?」

凱吾「いいよ」
鈴嶺「でも、凱くんのお腹を満たすためのパンだし……
それに、私はお腹いっぱいだから一口しか食べれないよ?
だからね、凱くんは凱くんの好きなパンを食べなきゃ!
それに凱くんは、甘いパンは食べないでしょ?」

凱吾「でも僕の一番は“鈴嶺”だよ?
鈴嶺が望むなら、何でもしたい」


志田「━━━━━━ね?言った通りだろ?(笑)」

そんな二人を見て、志田が意味深に笑った。
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