丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
そして、車に戻った凱吾達。

凱吾の手には、メロンパンとクリームパン、更にココアが握られていた。
言うまでもないが、これ全て鈴嶺が食べたそうにしたからである。

宗匠「全部、甘いな」
紀信「凱吾って、ブラックしか飲まないよね?」
宗匠「あぁ、それに甘いもんも好んで食べない」

杏樹「凱吾、自分用にブラック買ってくれば良かったじゃん。
ショートの小さいの」

凱吾「だって、鈴嶺は全部飲めないから。
残りは僕が飲むことになるだろ?
だったら、余計な物はいらない」

杏樹「余計って……
鈴嶺も、たまにはブラック飲んであげたら?」

鈴嶺「え?ぶ、ブラックはちょっと…
あ、でも!凱くんのためなら!」

凱吾「杏樹」
杏樹「はい?」

凱吾「余計なこと言わないでよ!
鈴嶺が気を遣うだろ!?
それに僕がいいんだから、問題ない!」
杏樹「はいはい…」

志田「杏、ほっておいてあげな。
凱吾くんは、我慢してるわけじゃないんだから」

杏樹「は?」

志田「ね?そうだろ?
鈴嶺ちゃんの意向にそっているけど、決して我慢してるわけじゃない。
俺にはわかるよ。
わからないんだけど、杏のためなら嫌なことでも嫌じゃないんだよなぁ。
もちろん、どうしても無理なこともあるけど」

凱吾「はい。そうですよ」

宗匠「そうゆうもん?」
紀信「んー、そうかもね!」


そして━━━━トイレ休憩をもう一度挟み、漸く目的地に着いた。

宗匠「着いたー!」
紀信「何もしてないのに、疲れたね(笑)
佐木さん、お疲れ様!
あとは、自分達でするから!」

佐木「はい、お気遣いありがとうございます!
では、凱吾様、お嬢様。
何かありましたら、ご連絡を」

凱吾「ん」
鈴嶺「佐木、ちゃんと休んでね!」

佐木「はい!」

杏樹「佐木さんは、何処にいるの?」

佐木「近くのホテルです」

志田「一緒に泊まればいいのに」

佐木「いえ、そんなことできません。
お気持ちだけ、いただきますね!
ありがとうございます!」

丁寧に頭を下げ、車に乗り込んだ。

車が去って行く方を見ながら、志田が言う。
志田「凄い忠誠心だね。
それに、全然ぶれないし…!」

杏樹「特に、鈴嶺にはね!」

志田「俺の部下にしたい!(笑)」
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