丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
デパートへ向かう。

佐木「お嬢様。どちらへ行かれますか?」
鈴嶺「何か食べる」

佐木「では、七階へ行きましょうね」
鈴嶺「あ、いつものパンケーキのお店にする。
ミルクティー飲みたいし」

佐木「はい」
鈴嶺「佐木は、付き合ってくれないのよね…?」

佐木「………」 
窺うように見上げる鈴嶺に、佐木は一度目を伏せた。
鈴嶺「あ、いいの。
気にしないで?」

佐木「いえ、今日はお付き合いします」
そして向き直り微笑んだ。

鈴嶺「え!?いいの!?」
まさかの返答に、鈴嶺は目を見開く。

佐木「はい。
凱吾様にも、言われてますので」
鈴嶺「え?」

佐木「お嬢様に寂しい思いをさせてるから、できる限り意向にそってやれと」
鈴嶺「ありがとう!」

佐木「いえ!私としては、とても光栄なことです!」


席に座り、鈴嶺がメニューを佐木に見せる。  
鈴嶺「佐木、先に選んで?」
佐木「滅相もございません!
お嬢様が先にお選びください!」

鈴嶺「私は、佐木と同じの食べる。
一人じゃ決められないから。
凱くんいないし…」
佐木「でしたら…
ワンプレートのセットにしてはどうですか?
これなら、お嬢様でも召し上がれるのではないかと。
私はランチは済ませてますので、コーヒーをいただきます」

佐木に言われ、注文した鈴嶺。
ボーっと、窓の外を見ていた。

慕っている鈴嶺を目の前に、佐木は緊張していた。
鈴嶺の仕草や表情全てが綺麗で、目が離せない。
でも、緊張でどうしていいかわからない。

鈴嶺「佐木?」
佐木「は、はい!」

鈴嶺「どうしたの?」
佐木「え?」

鈴嶺「急に黙っちゃったから」
佐木「い、いえ…」

鈴嶺「でも20年以上も一緒にいるのに、こんな風に一緒のテーブルにつくの初めてね!」
佐木「はい」

鈴嶺「不思議…
凱くんよりも、佐木の方が一緒にいる時間が長いなんて(笑)」
佐木「そうですね(笑)」

料理が来て、ゆっくり食べ始める鈴嶺。
佐木はコーヒーを飲みながら、ジッと見つめていた。
佐木「……/////」
(綺麗だ…/////)

鈴嶺「……………佐木、あまり見ないで?」
佐木「え?」

鈴嶺「恥ずかしいの/////」
佐木「あ、も、申し訳ありません!!」

慌てて頭を下げる佐木。
また食べ始めた鈴嶺を、今度はそっと見つめた。
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