丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
鈴嶺「あ!可愛い〜」

そんなある日の平日。
ある程度の家事を終え、鈴嶺はスマホで好きなブランドのHPを見ていた。

そこには、ペアのスウェットが映っていた。

鈴嶺「凱くんと着たいなぁ〜」

凱吾が仕事から帰ったら、相談しようと思い一度HPを閉じた。

テーブルにスマホを起き、ふと思いつく。

鈴嶺「凱くんに内緒で、サプライズで買ってみようかな?」

もう一度スマホを掴み、手帳を持ってきた。

以前店員から聞いていたネット注文方法を見ながら、ゆっくり注文をしてみる。

鈴嶺「………」

約・一時間かけて、スウェットを注文した。

鈴嶺「よし!
フフ…凱くん、喜ぶだろうなぁ〜!」


――――――そしてその様子は、会社で仕事中の凱吾にも当然筒抜けだ。

凱吾「――――ったく…また、説教だな…」

注文確定のメールが“凱吾に”届いてきたのだ。



そして凱吾が帰宅してきた。

凱吾「ただいま」

いつものようにパタパタ…と鈴嶺が駆けてくる。
鈴嶺「凱くーん!おかえりなさーい!」

しかし凱吾は、いつものように両手を広げずただ鈴嶺を見ていた。

鈴嶺「え?凱くん?」

凱吾「鈴嶺、話があるんだ。
リビングに行こうね」

いつもの優しい凱吾ではない、淡々とした冷たい態度。
鈴嶺は怖くなり、あっという間に目が潤みだした。

鈴嶺「凱くん!」

凱吾「ん?」

鈴嶺「ごめんなさい!」

凱吾「どうして謝るの?」

鈴嶺「凱くん、怒ってるから。
私が、何か怒らせるようなことしたんだよね?」

凱吾「そうだね」

鈴嶺「ごめんなさい!」

凱吾「何をしたか、心当たりある?」

鈴嶺「………ごめんなさい、わからない…」

少し考え込み、首を横に振る。

凱吾「まぁ、そりゃそうだよね。
鈴嶺は“故意に”僕を怒らせるようなことする子じゃないし」


リビングでソファに並んで座り、向き直る二人。

凱吾「○○のスウェット、買ったよね?鈴嶺」

鈴嶺「え!?
ど、どうして、知ってるの!?
凱くん、凄いね!
凱くんもエスパーなの!?」

凱吾「違うよ。
これ、見て」

スマホ画面を見せる。

鈴嶺「ん?
注文確定?
………って、何?」

目をパチパチして、凱吾を見上げた。
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