丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾「“注文確定メール”っていうのは、ネットで購入した時に店側が注文を確認したってことだよ」

鈴嶺「どうしてそのメールが、凱くんに届くの?
注文したの私だよ?」

凱吾「じゃあ鈴嶺、登録アドレスどうして僕のにしたの?」

鈴嶺「登録?アドレス?」

チンプンカンプンな、鈴嶺。 

凱吾「注文した時に、情報を送ったでしょ?
名前とか住所とか」

鈴嶺「あー、うん!
確かに、メールアドレスは凱くんのにしたよ?
だって、自分のメールアドレスがわからなかったから…」

凱吾「だからだよ?
だから、僕のスマホにメールが届いたんだよ?」

鈴嶺「へぇー、それってそうゆう意味なんだぁ!」
納得したように、うんうんと頷く鈴嶺。

そんな鈴嶺を、凱吾が見据えた。
凱吾「…………鈴嶺」

鈴嶺「え?」

凱吾「僕との約束、思い出して?」

鈴嶺「約束?」

凱吾「ネット!
僕、なんて言ったかな?」

鈴嶺「………でも、私は凱くんをびっくりさせたくて!
悪気はないよ?」

凱吾「わかってるよ。
鈴嶺は、僕に意地悪したりする人じゃない。
でも、ネットは“危ない”って言ったよね?
“○○のサイトを見るだけ!それ以外は触らない”って約束したよね?」

鈴嶺「…………ごめんなさい…」

凱吾「もう二度としないで?
欲しいモノは何でも買ってあげるから、僕に言って?」

鈴嶺「………うん…」
既に、鈴嶺の目は潤んでいる。

凱吾「罰として、今日は一緒にお風呂入らない。 
寝るのも、別々ね?」

鈴嶺「…………え…!!?
や、やだ!!
凱くんと一緒がいい!!」

凱吾「ダメだよ。
鈴嶺が約束破ったからだよ」

鈴嶺「嫌!!」
あっという間に、涙が溢れて止まらなくなる。

凱吾「泣いてもダメ!」

鈴嶺「………」

凱吾「僕、着替えてくるね」
リビングを出ていった凱吾。
ドアを後ろ手に閉め、ため息をついた。

凱吾「………なんて…そんなことしないけど」
小さく呟く、凱吾。

少しわからせてあげないと……


“鈴嶺は、僕に依存しないといけないのだから……!”


スウェットに着替え、リビングに戻る。
鈴嶺は、ソファに座って項垂れていた。

反省したかな?

凱吾「鈴嶺」

鈴嶺を呼ぶと、ビクッと身体を震わせた鈴嶺。

凱吾「鈴……え!?
鈴嶺!?」
慌てたように駆け寄る。

ローテーブルの上に救急箱が置いてあったからだ。

鈴嶺の前に跪くと、鈴嶺がバッと手を後ろに隠した。
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