丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
凱吾「は?」
佐木「お嬢様はヤケドで辛い中……“凱くんには言わないで”とそればかりでした。
お店の方のご心配ばかりして……
“私は大丈夫だから”って。
そのお気持ちをくんであげてください。
貴方は、お嬢様の旦那様です。
できますよね?」
佐木の真っ直ぐな瞳に、凱吾は“わかった”と一言言って、待ち合いの椅子に座った。
それから看護師が出てきて、凱吾達に声をかける。
「羽柴さんのご家族は……」
凱吾「僕です」
「あ、ご主人ですね」
凱吾「はい」
「今、点滴をうってます。
傷も、残ることはないので安心されてください。
点滴が終わったら、帰っていただいて大丈夫ですよ!」
凱吾「わかりました。
あの、妻の傍にいてもいいですか?」
「えぇ。どうぞ」
凱吾が、処置室に入っていく。
佐木が“ふぅー”と息を大きく吐き、少しふらついた。
紀信「佐木さん、大丈夫?」
佐木「はい…
…………ほんと、恐ろしい方ですね…」
宗匠「凱吾は冷たいもんなぁ」
杏樹「でも、凄いわね。
凱吾に面と向かって意見ができる人は、そうそういないから」
佐木「お嬢様の為です。
私は、旦那様と奥様に託されてますので。
お嬢様が、傷つかないように………」
宗匠「でも、佐木は凄いな」
佐木「え?」
宗匠「凱吾があんな風に、両親と俺達以外の人間の意見を聞くのは、佐木が初めてだ」
紀信「僕達でも、聞き入れない時あるよ」
杏樹「そうね。
鈴嶺くらいじゃない?
凱吾が素直に受け入れるの」
紀信「そうだね。ご両親のことも、嫌ってるもんね……凱吾」
一方の凱吾と鈴嶺。
凱吾「鈴嶺」
鈴嶺「あ…凱くん……」
凱吾「大丈夫?」
鈴嶺「うん…心配…かけて、ごめんなさい…」
凱吾「ううん」
目を潤ませながら謝罪する鈴嶺の目元を拭った。
鈴嶺「傷…残らないって」
凱吾「うん、聞いたよ」
鈴嶺「だからね……」
凱吾「大丈夫。佐木が、ちゃんと話をつけてきたって。
だから、鈴嶺の心配するようなことはしない」
鈴嶺「そう…良かった……!」
凱吾「鈴嶺」
鈴嶺「ん?」
凱吾「キスしよ。
鈴嶺はここにいるって、実感したい。
ヤケドなんて聞いて、僕の方が苦しかった」
二人は、何度も口唇を重ねた。
佐木「お嬢様はヤケドで辛い中……“凱くんには言わないで”とそればかりでした。
お店の方のご心配ばかりして……
“私は大丈夫だから”って。
そのお気持ちをくんであげてください。
貴方は、お嬢様の旦那様です。
できますよね?」
佐木の真っ直ぐな瞳に、凱吾は“わかった”と一言言って、待ち合いの椅子に座った。
それから看護師が出てきて、凱吾達に声をかける。
「羽柴さんのご家族は……」
凱吾「僕です」
「あ、ご主人ですね」
凱吾「はい」
「今、点滴をうってます。
傷も、残ることはないので安心されてください。
点滴が終わったら、帰っていただいて大丈夫ですよ!」
凱吾「わかりました。
あの、妻の傍にいてもいいですか?」
「えぇ。どうぞ」
凱吾が、処置室に入っていく。
佐木が“ふぅー”と息を大きく吐き、少しふらついた。
紀信「佐木さん、大丈夫?」
佐木「はい…
…………ほんと、恐ろしい方ですね…」
宗匠「凱吾は冷たいもんなぁ」
杏樹「でも、凄いわね。
凱吾に面と向かって意見ができる人は、そうそういないから」
佐木「お嬢様の為です。
私は、旦那様と奥様に託されてますので。
お嬢様が、傷つかないように………」
宗匠「でも、佐木は凄いな」
佐木「え?」
宗匠「凱吾があんな風に、両親と俺達以外の人間の意見を聞くのは、佐木が初めてだ」
紀信「僕達でも、聞き入れない時あるよ」
杏樹「そうね。
鈴嶺くらいじゃない?
凱吾が素直に受け入れるの」
紀信「そうだね。ご両親のことも、嫌ってるもんね……凱吾」
一方の凱吾と鈴嶺。
凱吾「鈴嶺」
鈴嶺「あ…凱くん……」
凱吾「大丈夫?」
鈴嶺「うん…心配…かけて、ごめんなさい…」
凱吾「ううん」
目を潤ませながら謝罪する鈴嶺の目元を拭った。
鈴嶺「傷…残らないって」
凱吾「うん、聞いたよ」
鈴嶺「だからね……」
凱吾「大丈夫。佐木が、ちゃんと話をつけてきたって。
だから、鈴嶺の心配するようなことはしない」
鈴嶺「そう…良かった……!」
凱吾「鈴嶺」
鈴嶺「ん?」
凱吾「キスしよ。
鈴嶺はここにいるって、実感したい。
ヤケドなんて聞いて、僕の方が苦しかった」
二人は、何度も口唇を重ねた。