丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
サヤは、頭の中で悶々と考えていた。

借金は、50万。
これの倍ってことは、60万ってこと。

結婚式諦めてたけど、10万あれば写真位は撮ることが出来る。

サヤは、鈴嶺を見据えた。

鈴嶺「サヤちゃん?」

切なく顔を歪ませている鈴嶺に「鈴嶺、ごめんね!!」と言って、その二つの封筒を鷲掴みし、ファミレスを出ていった。

鈴嶺「サヤ、ちゃ……」

鈴嶺の目が、信じられないという風に見開いた。
そのまま、静かに涙を流す。

“金は怖いモノ”
凱吾の言葉が、頭の中をよぎる。

こんな裏切られ方は、初めての経験だった。

凱吾が横から、優しく抱き寄せる。
そして、ゆっくり頭を撫でた。

その日。
鈴嶺はずっと涙が止まらず、一晩中泣き続けた―――――――


一方のサヤ。

婚約者にその金を渡すと、婚約者はその金を持って音信不通になった。

元々婚約者はサヤのヒモ男で、ずっとサヤは尽くしてきた。

後からわかったことだが、今までサヤが買ってあげた物は全て売って金に変えていて、ギャンブルなどの遊びに使っていた。

今回の60万で(もう、金は搾り取れないと)見切りをつけられたのだ。

更に働いていた会社は、身に覚えのない疑いをかけられ解雇。

その後何処の企業も雇ってもらえず、風俗店で働くようになった。

しかも、唯一雇ってくれた店は赤王組の管轄の店。

サヤは、タダ働き同然の扱いを受けることとなったのだ。



ここは、羽柴ホールディングスの副社長室。
凱吾が、志田と電話で話している。

凱吾「――――志田さん、どうですか?あいつ」

志田『結構可愛い顔してるからか、悪くないよ。
良い子を紹介してくれたね!
なんか、お礼しなきゃかな〜(笑)』

凱吾「いえ。それよりももっと奴を使って、一生…働かせてやってください。
…………………
…………鈴嶺の受けた痛みは、そんなモノじゃ足りないから………」


志田『フッ…気持ちはわからなくはないけど、ほんっと君は……“末恐ろしい男だね……!”(笑)』

電話口で笑う志田に、凱吾もフッ…と意味深に笑った。

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