丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
鈴嶺「━━━━そうなんだ!やっぱ、凱くんは凄いなぁ」
鈴嶺に“凱くんって会社ではどんな感じなの?”と聞かれ、簡単に会社での様子を話した住江。

鈴嶺は感心したように、微笑み言った。

住江「あの方は、本当に素晴らしいですよ!
失敗というのをしない。
かといって、努力も怠らない。
だから“完璧”なんです」

鈴嶺「うん。そうだね!
凱くん、学生の頃も言ってた。
“僕はね。何でも器用にできるんじゃない。
何でもできるように、努力してるんだ。
だから、失敗しない”って。
そんなところも、カッコ良くって素敵!」

住江「そうですね!」

鈴嶺「でも、そんな凱くんを支えてる住江さんも素敵!」

住江「え?鈴嶺…様?」

鈴嶺「だって、相手は凱くんだよ?
それ相応の能力がないと、凱くんについていけないよ?
私は“そうゆう意味では”凱くんにつり合わない。
きっと凱くんも、嫌になると思う。
“そのままでいいよ”って、凱くんが言ってくれたから私はここにいられる」

住江「鈴嶺様…/////」
鈴嶺に“素敵”と言われ、顔を赤くする住江。


凱吾「━━━━━━鈴嶺!!!」
するとそこに凱吾が、鈴嶺を呼び駆けてきた。

鈴嶺「え?あ……凱くん!」
鈴嶺が立ち上がると、あっという間に凱吾の腕の中に収まった。

凱吾「鈴嶺、何故ここにいる?」
鈴嶺「え?あ、凱くん、忘れ物してたから届けに来たの」

凱吾「は?忘れ物?」

住江「凱吾様。こちらです」
凱吾に渡す。

凱吾「え?これを、鈴嶺が?」
住江「はい」

凱吾「そうだったのか。
ありがとう、鈴嶺」
鈴嶺「うん!
フフ…」

凱吾「ん?何故、笑う?
忘れ物をするなんて、僕は自分が許せないのに…
こんな失態、初めてだ。
…………あー、宗匠のせいだな。
あいつがいたから、普段起こりえないことが起きたんだ。
あぁ…情けない!」

鈴嶺「私は、嬉しい!」
凱吾「どうして?忘れ物なんてしちゃダメだ。
そんなの、クズのすることだ」

鈴嶺「違うよ。誰でも、忘れ物するよ?
私なんか、いつもだよ?
凱くんは、私のことクズだと思うの?」

凱吾「思わない。
鈴嶺は、いつも一生懸命だから」

鈴嶺「凱くんからすれば、許せなくても……
私は、そんな凱くんも大好き!
それに、こんな風に会えたから嬉しい!」

凱吾「鈴嶺…ありがとう!」
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