丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
鈴嶺「━━━━どっちがいいかな~?」
凱吾「どっちもダメ」

鈴嶺「え?
…………似合わない…かな?」
凱吾「似合うよ、とっても。
鈴嶺は可愛いから、どんな服でも似合う」

ある日。
凱吾と鈴嶺は、デートをしていた。

鈴嶺の服を買いに、デパートにいる二人。
鈴嶺が様々な服を、凱吾に見せていた。

鈴嶺「じゃあ、なんでどっちもダメなの?」

凱吾「右のは、スカート丈が短い。
左のは、首まわりが開きすぎ。
だからダメ」

鈴嶺「えー!じゃあ……これは?」

凱吾「これは、背中が開きすぎでしょ?ダメ」

鈴嶺「………じゃあ、いらない!」
凱吾「あ、怒っちゃった?」

鈴嶺「ううん、違うよ。
凱くん、喉渇かない?」
凱吾「じゃあ、何処かで休憩しようか?」

近くのカフェに入り、カウンター式の席に並んで座る二人。

鈴嶺「……熱っ…!?」
凱吾「鈴嶺!?大丈夫!?」

鈴嶺「うん…熱かった…」
凱吾「鈴嶺、ベーってして?舌、見せて?」

鈴嶺「ん…」
凱吾「少し、赤くなってる…痛い?」

鈴嶺「少し…でも、大丈夫!」
凱吾「ん。ふぅーってして、ゆっくり飲まなきゃだよ?」
ポンポンと頭を撫でる凱吾に、コクンと頷く。

小さく息を吹きかけてゆっくりミルクティーを飲む鈴嶺を、うっとりとして見つめている凱吾。
時折鈴嶺の頭を撫でる凱吾を、微笑んで見上げる鈴嶺。

端から見ても、恥ずかしくなるくらい二人の雰囲気は甘い。

知里「━━━━あの人…」
その光景を、たまたまガラス越しに知里が見ていた。


店を出た凱吾と鈴嶺の後をつける、知里。
佐木の車に乗り込むと、知里もタクシーで追いかけた。

無意識だった━━━━━
無意識に、後をつけていたのだ。

後部座席に並んで座っている、凱吾と鈴嶺。
走り出してしばらくすると、鈴嶺が凱吾の肩に頭を預けてきた。

凱吾「ん?鈴嶺?大丈夫?」
鈴嶺「眠い…」

凱吾「疲れたのかな?少し寝な?」
佐木「着いたら、起こしますからね!」

鈴嶺「うん…少し…だ、け……」
コトンと眠ってしまった鈴嶺を、優しく微笑みながら見て髪の毛をすくように頭を撫でる。

凱吾「佐木」
鈴嶺を見ながら、鋭い声で佐木を呼ぶ。

佐木「はい」

凱吾「気づいてる?」

佐木「後ろ、つけられてますね」

凱吾「カフェ出たあたりから、おかしいなと思ってたんだ」

佐木「凱吾様。
今日の外食はやめておきましょう」

凱吾「そうだな」
佐木「遠回りをして、あのタクシーをまいてからご自宅に向かいます」

凱吾「うん。頼む」
誰かはわからないが、自宅を知られるわけにはいかない。

佐木は遠回りしながら、タクシーをまき自宅に向かった。

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