丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
鈴嶺・佐木「え……?」
佐木「何故、そう思われたんですか?」


知里「だって、あんな血まみれだったら誰だって━━━━え……!?あ……」
墓穴を掘る、知里。


鈴嶺「どうして……
どうして、こんなことを……!?」

悲しみに満ちた瞳と視線。
鈴嶺の苦しみが、知里に突き刺さる。

知里「あんたがいなかったら、紀信さんがあんな想いしなくて済んだ」
知里は、意を決して鈴嶺を睨み付け言い放った。

鈴嶺「紀信、くん…?」

知里「あんたのせいで、紀信さんは苦しんでるの!」

鈴嶺「私の…せい、で…」
今度は鈴嶺の胸に、知里の言葉が突き刺さる。
鈴嶺は胸を押さえ、俯いてしまう。

佐木「お嬢様!?
…………名原様、貴女は勝手ですね」
佐木が鈴嶺の足元に跪き、背中をゆっくりさする。
そして、知里を鋭く見つめた。

知里「え……」

佐木「お話を聞いてると、貴女は紀信様を慕っていらっしゃるんですよね?
その想いが叶わないからと、鈴嶺様に当たる。
そんなことをしても、紀信様の心は手に入らないのに」

知里「………っ…そ、それは…」

佐木「それに卑怯です!」

知里「え……」

佐木「何故、面と向かって鈴嶺様に言わないのですか?
こんな、卑怯なやり方……
しかも……鈴嶺様を殺そうとした……!!!
許せない……!!!
私にとって鈴嶺お嬢様は、凱吾様に負けないくらい大切な方です。
私は、貴女を絶対に許さない!」

佐木は鈴嶺を優しく立ち上がらせ、知里を見下ろすように見て言った。

佐木「杏樹様は、幸い命に別状がありません。
しかし、貴女の行為は殺人未遂行為です。
自首してください。
………………いいですか?
すぐに、警察へ行ってくださいね」
意味深に、知里を見て言った佐木。

そして、鈴嶺を支えるようにして出ていった。


凱吾達の青春。
丘の上の大きな桜の木の下。
そこで、凱吾、宗匠、紀信、杏樹、志田が鈴嶺と佐木を待っていた。

佐木の運転する高級車が、ゆっくり停まる。
佐木が運転席を降りる前に、凱吾が駆けつけ後部座席を開けた。

凱吾「鈴嶺!!」
鈴嶺「凱…くん…」
凱吾「鈴嶺…」
鈴嶺は、涙で顔がぐちゃぐちゃだ。

凱吾「鈴嶺、おいで?」
鈴嶺の手を引き、車から降ろした。
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