丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
今度は、凱吾に支えられるようにみんなの元へ向かった鈴嶺。

紀信・杏樹「鈴嶺!?」
宗匠「鈴!」
志田「鈴嶺ちゃん!」

鈴嶺「杏ちゃ…」
杏樹の隣に座らされた鈴嶺。

足元に跪いた凱吾が、鈴嶺を見上げた。

凱吾「鈴嶺。
本当のこと、教えて?
本当は“誰が”鈴嶺を突き落とそうとしたか知ってたんだよね?」

志田「鈴嶺ちゃん、教えてくれない?
今、その相手に会いに行ったんだよな?」
志田も、凱吾の横に跪いて鈴嶺を見上げた。

宗匠「鈴、言え」
紀信「鈴嶺!教えて!」
杏樹「鈴嶺、大丈夫だから。聞かせて?」

杏樹が、ゆっくり背中を撫でる。

鈴嶺「私の…せい、なの……」
杏樹「ん?」

鈴嶺「私のせいで、杏ちゃんが傷ついたの。
志田さん、悪いのは私です。
ごめんなさい!ごめんなさい!」

志田「どうして、そう思うの?」

鈴嶺「私がいなかったら、杏ちゃんは怪我しなかった。
私のせいです」

志田「それは違うよ。
杏は、杏の意思で鈴嶺ちゃんを助けた。
君のせいじゃない。
悪いのは、君を突き落とそうとした奴だよ。
………鈴嶺ちゃん、教えて?
杏に悪いと思うなら、尚更真実が知りたい」

鈴嶺「………志田さん、凱くんも、きっと知ったらその方を傷つけますよね?」

志田「そうだね」
凱吾「当たり前だ。僕の鈴嶺を殺そうとした輩だ。
同じ目に遭わせてやる」

鈴嶺「その方には、佐木が警察へ自首するように言ってます。
だから、もう……」

志田「…………君は、俺達にそいつのことを許せって言ってるの?」

鈴嶺「違います。
罪をちゃんと、償ってもらいたいんです。
志田さんが、どうしてもとおっしゃるなら……
━━━━━━私を殺してください」

志田「君は……何故…」

鈴嶺「元はと言えば、私が原因です。
だから━━━━━━」
凱吾「鈴嶺!!」

鈴嶺「え………凱…く……」
鈴嶺は、凱吾の憤怒を初めて見た。

こんなに怒っている凱吾を見たことがない。
凱吾は、鈴嶺に“だけは”頑なに見せないから。

凱吾「今の言葉、聞き捨てならない。
言っておく。
志田さんが鈴嶺を殺したら……今度は僕が、志田さんを殺る。
鈴嶺。
なんなら今ここで、僕が“無理矢理”吐かせようか?」

鈴嶺「凱…く……」


佐木「━━━━━━私が!!全てお話します!」
そこに、佐木が声を荒らげた。
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