丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
そんなある平日。
鈴嶺は部屋をごそごそとして、探し物をしていた。


鈴嶺「やっぱ、そんな頻繁に凱くんが忘れ物するわけないよね……(笑)」

凱吾が忘れ物をしていれば“また”凱吾に会う口実ができる。

鈴嶺「んーー
━━━━━━あ!お弁当を作って、届けに行こうかな?(笑)」


そうと決まれば、急いで取りかからないと昼になってしまう。
鈴嶺は、キッチンへ急いだ。

そこに、ピンポーン!とチャイムが鳴り響いた。

鈴嶺「ん?誰かな~?
━━━━━あ!宗くんだー
はーい!」

宗匠『鈴!今から出れね?』

鈴嶺「え?」

宗匠『ちょっと、困ってんだよ!!
助けて、鈴!
ケーキご馳走してやっから!』


準備をしてマンションを出る。
マンション前に宗匠が、煙草を吸いながら待っていた。
鈴嶺「宗くーん!」

宗匠「ん!悪いな!急に」

鈴嶺「ううん!」
そこに、鈴嶺のスマホが鳴り響いた。
鈴嶺「ん?あ、佐木だ!
━━━━━もしもし?」

佐木『お嬢様!!?
また、勝手に……
お一人でお外に出てはいけません!』
鈴嶺「へ!?」
(また、バレた…)

佐木『お嬢様、マンションにお戻りください!』

鈴嶺「でも、宗くんいるし…」

佐木『え?宗匠様?』

鈴嶺「うん!宗くんが、ケーキご馳走してくれるんだって!」

佐木『ケーキ…?ご馳走…?
…………でしたらお嬢様、私がお送りします。
そこでお待ちを』

鈴嶺「え?うん、わかった」
宗匠「佐木、何て?」

鈴嶺「送ってくれるって!
だから、待っててって!」

宗匠「なんでバレてんの?
鈴、わざわざ佐木に連絡したのかよ!?」

鈴嶺「ううん。佐木ね。エスパーなの!」
宗匠「………」

鈴嶺「え?宗くーん?」
フリーズする宗匠の顔を前で手を振る、鈴嶺。

宗匠「…………は?」
(鈴は、バカなのか?)

鈴嶺「宗くん?」
首をかしげ、宗匠を見上げる。

宗匠「鈴、何言ってんの?お前…」

鈴嶺「だってお外に出ると、すぐバレちゃうんだもん!」

宗匠「外に出たら、バレる?」

鈴嶺「うん。今みたいに、何も言わずに出ても佐木にはわかっちゃうの~
ね?エスパーでしょ?」

宗匠「………鈴」
鈴嶺「ん?」

宗匠「ちょっと、スマホ貸して?
大丈夫。悪いことには使わない。
俺を信じて、貸して?」

鈴嶺「うん!」

鈴嶺から渡された、鈴嶺のスマホ。
可愛らしいピンクのカバーの、いかにも鈴嶺らしいスマホ。
操作し、見てみる。


宗匠「こ、これ……」

宗匠は目を見開き、固まった。
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