丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
GPSや、自動的に鈴嶺のスマホデータが転送される機能アプリの数々。

鈴嶺「━━━━うくーん?宗くん!」
宗匠「………」

鈴嶺「宗くん!!」

宗匠「え?あ、わ、わりぃ…」

鈴嶺「どうしたの?」

宗匠「鈴嶺、これ…佐木……いや、凱吾だな。
凱吾が触ったことある?」
スマホを渡しながら言った、宗匠。

鈴嶺「え?
うん。えーと…結婚して一緒に住み始めた頃に!
フフ…ホーム画面をお揃いにしよって言われたの!
“僕が設定してあげる”って言って。
…………ほら、見て~!結婚式の時の写真~」
受け取った自身のスマホのホーム画面を見せる。

宗匠「あいつ……」


そこに、佐木の車がゆっくり止まる。
佐木「お嬢様、宗匠様。
お待たせしました、どうぞ?」

鈴嶺「ありがとう!」
鈴嶺が乗り込む。

佐木「宗匠様も、どうぞ?」

宗匠「佐木、お前さ」

佐木「はい」

宗匠「エスパーなんだって?」
さりげなくドアを閉め、佐木を見据えた宗匠。

佐木「………は?」

宗匠「いくら執事だからって、やり過ぎだろ!?
おじ・おばが知ったら、お前…クビになるぞ?
凱吾だって、離婚ってことになる」

この言葉で、漸く宗匠の言わんとしている事がわかった佐木。

佐木も同じように、宗匠を見据えた。
そして、はっきりした口調で言った。


佐木「旦那様と奥様も、承知の上での事です」
と━━━━━━━



“もちろん。凱吾様が上手く言いくるめたのですが……”
佐木の運転で、目的地に向かいながら佐木の言葉を思い出していた。


これが“愛情”だとでもいうのか━━━━?

こんなの愛情というより、支配欲の塊だ。
愛情がわからない自分でもわかることだ。


当の鈴嶺は━━━凱吾を心から信頼し、尊敬し、全てを捧げている。

凱吾が裏でしていること等、知るよしもなく……


宗匠「鈴」

鈴嶺「ん?」
微笑み、宗匠を見る。

宗匠「お前、幸せ?」

鈴嶺「うん!もちろん!」

宗匠「凱吾が、最低な悪魔でも?」

鈴嶺「え?」

宗匠「………」
真剣に見つめている、宗匠。

鈴嶺は微笑んでいた表情から、真剣に宗匠を見つめ直した。

鈴嶺「うん……!
“それでも”凱くんの傍にいたい!」


宗匠「そう…か…」
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