丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
鈴嶺「こんにちは!志田さんは……お仕事ですか?」
志田の後ろに控えている、黒スーツの男達を見て言った。

志田「あぁ。ごめんね、怖いよね?」

鈴嶺「いえ…」
凱吾「志田さん、僕達急いでるので!」

志田に軽く頭を下げ、鈴嶺の手を引く。

鈴嶺「え?凱くん?」
凱吾「ほら、志田さんは仕事中なんだから、邪魔しちゃダメだろ?」

鈴嶺「あ!そっか!
…………じゃあ、志田さん!さようなら!
あ!杏ちゃんによろしく伝えてください!」

ふわりと微笑み、ペコッと頭を下げる。
そして、凱吾に引っ張られるように去っていった。

志田「可愛いなぁー」
クスクス笑う、志田。

「ほんと、可愛い子っすね!」
「まさに人形みたいな子って、あんな子のこと言うんでしょうね!」

志田「あぁ。
まぁ、凱吾くんも可愛いがな。
完全にヤキモチ妬いてるもんなぁー」

「いいなぁー、あんな子を女にしたいなぁー」

志田「は?
江原(えはら)、それはやめとけ…!」

江原「え?」

志田「いいか?これは、警告だ!
鈴嶺ちゃんには、何があっても手を出すな!」

志田はいつになく真剣な表情で、部下の江原を見て言い放った。


一方の凱吾と鈴嶺━━━━━━━

鈴嶺「━━━━なんか…」
凱吾「ん?」

鈴嶺「志田さんは、ヤクザさんなんだよね……」
凱吾「うん。そうだね」

鈴嶺「杏ちゃんといる時の志田さんは、普通の男性って感じだから……
明るくて、優しく笑ってて。
さっきの志田さん、なんか怖かったなって……」
凱吾「きっと、鈴嶺や杏樹のいる前ではその雰囲気を消してるんだと思うよ?」

鈴嶺「そっか。そうだよね……」

凱吾「鈴嶺」

鈴嶺「ん?」

凱吾「志田さんが、鈴嶺を傷つけるようなことするとは思えないけど……
忘れないで?
あの人は、裏の最大組織・赤王組の若頭で、実質のNo.1なんだ。
だから、完全には信用しちゃダメだよ?」


凱吾は、鈴嶺の頬を包み込むようにして覗き込み、言い聞かせた。

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