丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
杏樹「鈴嶺。おめでとう!」
鈴嶺「ありがとう!」

グラスがカチンと鳴る。

杏樹「んー、美味しい!」
鈴嶺「うん!」

杏樹「幸せになりなっ!」
鈴嶺「うん!
…………杏ちゃんも…幸せに……」

杏樹「私は、幸せよ!」
鈴嶺「うん…」

杏樹「………鈴嶺。見て?」
杏樹が、鈴嶺に自分の胸を見せた。
インフィニティのタトゥーが彫られていた。

鈴嶺「杏ちゃん、これ……」

杏樹「久史さんとお揃いなの。
久史さんも、胸に同じの彫ってくれたのよ!」

これが、杏樹の“覚悟”なんだろう。

鈴嶺は何故か、涙が溢れていた。

鈴嶺「杏ちゃん……」
杏樹「鈴嶺、ありがとね!
私のために泣いてくれて」

鈴嶺「………でも、こんなの…」

杏樹「鈴嶺」
鈴嶺「え?」

杏樹「もし、凱吾に奥さんがいたら……
鈴嶺なら、どうする?」

鈴嶺「それは……」

杏樹「私の久史さんへの愛情、鈴嶺の凱吾への愛情には負けないわよ!」

鈴嶺「………わかってる。
受け入れるって、決めたから!
私は何があっても、杏ちゃんの親友だよ!」

杏樹「うん!私にとっても、鈴嶺は大切な親友よ!」


そして二人は、凱吾達の所へ戻る。

凱吾「鈴嶺!やっと来た!」
鈴嶺「凱くん…」

“凱吾に奥さんがいたら、鈴嶺はどうする?”

凱吾「鈴嶺…?」
宗匠「鈴、どうした?」
紀信「鈴嶺?」

鈴嶺「凱くん」
凱吾「ん?」
優しく微笑む、凱吾。

鈴嶺「凱くん、好き!大好き!」
凱吾「うん!僕は、愛してるよ!」

鈴嶺「凱くんに、奥さんがいたら……
………いてもきっと、変わらない!
そのくらい、好き!」

凱吾「うん!」

鈴嶺「志田さん」
志田「ん?」

鈴嶺「胸のタトゥーを見せてくれませんか?」

志田「………いいよ」
ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外して、カッターシャツのボタンを外した志田。

杏樹と同じ、インフィニティのタトゥーが彫られていた。

鈴嶺「これが、二人の“覚悟”なんですよね…!」

志田「そうだよ」

鈴嶺「“あの言葉”忘れないでくださいね!」

志田「もちろん!」

鈴嶺「杏ちゃんのこと、よろしくお願いします!」


鈴嶺は、丁寧に頭を下げた。
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