丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
バン!!!と玄関のドアが開き、凱吾が駆けつけてくる。

凱吾「鈴嶺!!?」

佐木「はっ!?凱吾様!!?」

凱吾「鈴嶺は!!?」

佐木「今、落ち着かれて、ベッドで休まれてます」

凱吾は寝室に向かう。
鈴嶺が眠っていて、ベッド脇に腰かけ優しく頬に触れた。

凱吾「鈴嶺…」

佐木「凱吾様!!申し訳ありませんでした!
私がいながら、お嬢様を傷つけてしまっ━━━━━」

凱吾「もういい。
お前を殴ったところで、何も解決しない。
━━━━━ただ、次はない」

佐木「はい」

凱吾「…………それで?
僕の鈴嶺を傷つけた輩は誰だ━━━━━?」



━━━━━━そして今、凱吾は赤王組の事務所前にいる。
事務所前にいた組員達が、声をかけてくる。
「お前、誰だ?」
「ここが何処だかわかってんだろ?」
「帰りな!」

凱吾「僕は、ここの若頭に会いに来た。
会わせろ、クズ共」

恐ろしい殺気に包まれた凱吾。
その雰囲気だけで、相手をひれ伏させてしまいそうな程だ。

「こいつ……」
「何者…!?」

凱吾「早くしろ。僕は今、余裕がない」


凱吾の恐ろしい雰囲気に、組員達は事務所に通すのだった。
部屋で待っていると、志田が部下を連れて入ってきた。

ソファに座っている凱吾を見て志田は、寒気がしていた。

これが……
“悪魔”と呼ばれている、羽柴 凱吾か。と━━━━━

志田「何?」
向かいのソファに座り、凱吾を見据える。

凱吾「今日の昼3時半頃。
◯◯デパート。
五階から下りるエレベーターの中。
お前の組のクズが、僕の鈴嶺を襲った。
今日中に調べて、僕の前に連れてこい。
お前なら、調べることできるだろ?」

志田「連れてきたらどうする気?」

凱吾「は?
聞かなくてもわかるだろ?
クズは生きる価値がない。
僕が消してやる」

志田「消されるのは困るなぁー」

凱吾「フッ…」

志田「ん?」

凱吾「赤王と、そのクズ一人。
比べる価値もないと思うが?」

志田「君みたいなガキ一人に、赤王を潰せるとでも?」

凱吾「あぁ。できる」
迷いのない、真っ直ぐな瞳。

志田「………わかった。
その代わり、俺にも見届けさせてくれない?
どんなクズでも、俺の部下だからね」

志田は、改めて思う。

あぁ…この男を敵に回してはいけない━━━━━と。

凱吾「だったら、ここで待っててやる。
ここに連れてこい」

志田「わかった。
━━━━━おい!」
後ろに控えている部下に声をかける。



数十分後━━━━━
江原が組員に連れられ、部屋に入ってきた。

志田「江原、お前か」

江原「若!すんません!俺━━━━━」


凱吾「喋るな、クズ」
重く、低く、冷たい声が部屋に響く。

江原「え………」

この後江原は、地獄を見たのだった━━━━━
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