丘の上の大きな桜の木の下で、また会おう~After Story~
宗匠「……ったく…
ちょっと見せてみろよ!」
鈴嶺「え?うん。
ん……」
鈴嶺の頬を包み込み舌を見る。

宗匠「ちょっと、赤いかな?
まー、大丈夫だろ!
ゆっくり、ふーふーして食えよ?」

鈴嶺「………」

宗匠「ん?なんだよ」

鈴嶺「なんか…凱くんみたい……」

宗匠「は?」

鈴嶺「凱くんもね。
こんな風にしてくれたんだよ?」

宗匠「そう」

鈴嶺「フフ…でも、やっぱ凱くんとは違うけど!(笑)」

宗匠「当たり前だろ?」

鈴嶺「そうだね!
宗くんは、お兄様みたいだもん!
昔から!」

宗匠「━━━━━」

鈴嶺「………ん?宗くん?」


宗匠「━━━━━━俺は、兄貴じゃねぇよ!!!」
声を荒らげる、宗匠。

鈴嶺「え━━━━宗…く…」

宗匠「え?あ、わ、わりぃ……」
思いの外、大きな声が出てしまった宗匠。
自分自身でも、驚いていた。

鈴嶺「ごめんね!
お兄様って言われるの、嫌だったかな?
違うよ!
宗くんは、宗くんだよ!」

宗匠「あぁ…わりぃ…なんか俺、おかしい……」


ランチが終わり、佐木が迎えに来る。
佐木「お待たせしました。
お嬢様、宗匠様。どうぞ?」

車に乗り込む。
運転席に乗り込んだ佐木が、ゆっくり発進させた。

宗匠「佐木」
佐木「はい」

宗匠「◯◯公園に行って」

佐木「え?
あ、しかし、凱吾様よりランチ後は真っ直ぐ帰るように仰せつかってますので……」

宗匠「そんな時間取らないから!」

佐木「………わかりました。
手短にお願いしますね」


公園に着き、ベンチに並んで腰かける。
鈴嶺「宗くん、どうしたの?」

宗匠「鈴」

鈴嶺「ん?」

宗匠「ちょっと、確かめたいことがある。
目、瞑って?」

鈴嶺「え?うん」
ゆっくり目を瞑る。

宗匠は鈴嶺の顎を持ち、顔をゆっくり近づけた。
口唇が重なる寸前で、ピタリと止まった。

宗匠「………」
(違う!!)

宗匠「あーーー!!もうーーー!!わかんねぇー!」

立ち上がり、空に叫んだ。

鈴嶺「宗くん!!?」

鈴嶺もびっくりして目を開け、宗匠を見上げている。


利美の言葉が、ずっと引っかかっていた━━━━━━

“きっと“傍にいすぎて”気づかないだけなんですよ”

でも今キスをしようとして、やっぱしたいとは思えなかった。
鈴嶺のことは、大事だ。

それは確かなことだ。

誰よりも大事な幼馴染み。
それは、間違いない。

でも……鈴嶺とは、キスもセックスもしたいとは思わない。


宗匠「鈴、俺達って何なんだろな………」
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